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『投資戦略の建て方』(1〜3)

戦略論(1

・物事を成し遂げるには戦略(ストラテジー)が無ければ成功はない。

戦略とは(目標・ガイドライン)、
戦術は戦略を具現化する方法、
作戦は戦術を成功に導く具体的な施策を指す。

従って、何を目的にするかによって、選択すべき戦略が決定されるのであるが、
戦略の失敗は戦術では補えず、戦術の失敗は作戦では補えない」と胆に銘ずべし。

ところで、株式運用の目的については、人によってそれぞれ異なる。

『年金運用、会社経営における財務運用、
資産の分散、大きく儲からなくとも配当や株主優待期待、
一発大儲け、投資や社会勉強、ボケないため、
仲間と楽しく株談義をしたい…様々であろう。

しかし、人それぞれの目的意識は異なっても「もうけること」を目的としない投資はない。

さて、「儲けることが目的」ということが明確でも、「どのように儲けるか」の定義が曖昧である。

(投資した資金が増えればよい)程度の、漠然とした認識では目的は達成されない。
(目的が様々)ということは、即ち、投資家の投資条件は様々。

『資金量、資金の性質、時間、経験、資質、投資技量』など、千差万別
しかも、相場環境も、「上昇・下降、水準訂正・通い相場、優良・仕手株相場」と様々。

このように考えてくると、相場戦略は複雑・難解ということになるが、
相場の状況認識によって理解し易くなる。

戦略とは場況認識から生まれる
まず、現在の相場が活況なのか低迷なのか。
中長期的に上昇なのか下降なのか。
大底か?天井か?中段か?。

それに対して、自分のポジションはどうか。
自分が今、(どのような方法で、どのくらい儲けたい状況か)をしっかり認識すること、
これが、戦略の第一歩である。

よく、相場が急に変わったから失敗したなどと言っている無戦略の投資家がいるが、話にならない。
自分がどのくらいの利益を得ようかと考えて建てた戦略と
自分の持っている銘柄、株数、単価と場況を見れば、
場況の変化によって戦略は変えなければならないことは分かるはず。

自分の建てた戦略が通用しそうにもない相場に変わったならば、戦略は変更しなければならない。
或いは、自分のポジションに変化が無くとも相場は刻一刻変わっているのであり、
場況の変化に応じて、投資戦略も変化する。

自分の目標である「これだけ儲けたい」という欲求ばかりでなく、
「絶対に、大きく損をしない」
「絶対に、損を取り返す」
「絶対に、損を拡大しない」
、というものも立派な戦略である。

しばらく、様子を見る」という答えは、戦略のなさの露呈

場に入る前に、
『どれだけの資金で、どの程度の期間に、どの程度の利益を上げる』

という、利益計画を、事前に頭に描いておくことこそが戦略である。

(戦略なくして、成功なし)である。

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『戦略論2』

戦略がなければ事を成すことは出来ないが、株式投資戦略は「場況認識」から生まれる。「場況」とは、相場における最大の投資主体は誰か(外国人、個人、投信、銀行、年金)、相場がエリオット波動のどの位置にあるのか、自分が乗り易い相場かどうか、得意とする銘柄かどうか、自分の資金量に相応しい相場かどうかなどの相場状況である。

そして、自分がどのような「張り方」でどの程度の利益が上げられる状況なのかを確りと認識しておくことが戦略の第一歩である。相場の流れを見極めずに、おもいつきで相場を行っても満足な投資成果は期待できるはずは無い。

自分の支配資金量、投資技量や技術、投資期間から収益目標への戦略を立てた上で、場況を見れば、場況によっては自分の戦略の適否や可能性が見える筈である。つまり、戦略は場況の変化によって変えなければならないのであり、場況が変わらなくとも、自分の都合が変われば戦略も変化しうるのである。

また戦略は戦術と異なり、その相場における自分の目標である。これだけの収益を上げたいという利益獲得の欲求ばかりでなく、利幅は僅かでも確実に利益確定を行う、一つの相場に長く留まらない、投資金額における現金比率を高める、ヘッジ売りを併用する、逆相関の銘柄を組み合わせるなども立派な戦略である。

投資開始時にこれだけの利益を上げたいという目標金額を頭に描いておくことが戦略なのである。人によって、この戦略に違いがあるが、1万円でもよいという人もいれば、1000万円は欲しいと思う人もいる。

私は基本的には年間3割を設定していたが、最近は一回の投資で1割を目指すことが多い。つまり、相場の質が変化してきて一年にわたるような長期投資を実践し難くなっている。上昇期間が短く相場スケールが小さくなっているようだ。

こうした設定利益目標というのは、戦略上のものであり、相場に入る前に既に心の中で決めている。しかし、例えば1割を設定したからと言って、必ず1割以上を上げなければならないものではない。

戦略としての設定利益目標は大切であるが、相場環境や個別銘柄の動きを見て、資金配分を補正しなければならない。場況で3割が見えていてその利益獲得の可能性が高いのにそれを潰す必要はない。また、1割と決めていたとしても、場況や自己のポジションの収支具合などによっては、3%で利益確定する方が適切である場合もある。

相場は読んで字の如く、「相対する場」である。市場の値動きを読んで資金を投じ、儲けを企むのであるから、値動きが読めていなければ資金配分の計画など立てられはしない。思惑通りに相場が展開するかどうかなどは誰にも分かりはしない。

しかし、分からないからこそ値動きを観察し、先行きを予想しなければならないのである。「相場はかくあるべし」などと決めつけるから途方もない損失を出したり、みすみす大きな利益を取り逃がしたりするのである。「敵を知り己を知らば百戦危うからず」彼我の状況認識こそが戦略である。

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『戦略論3』

具体的な戦略を書くと、順調に進んでいる時の利益目標は2割、そうでない時は1割5分が最低目標である。相場開始の早い段階で1割の利益目標に達していれば買い増しするか否かは、更にもう1割利益の上積が望めるか否かで決めるのがセオリーである。

相場が出来高を伴わず、値動きが穏健な時は、買い増しは見送り。意外な好材料の出現で突飛高する可能性があるからである。そして、買い増しを見送った後、材料が出たら買い増しするか否かは、またその時点での自分のポジションの利益具合と相場状況(相場の成熟度)によって決める。ここで、早めに利益確定するか、それとも更に利幅拡大を求めるか見極める。

利益確定を決断しなくとも、その利益を他の銘柄の損失の原資に充てる「併(あわ)せ切り」を前提に、含み利益として2銘柄ないし1銘柄保持した上で、新たな銘柄で利益獲得を目指すケースは多い。稀なケースではあるが、含み利益を、信用取引を利用した「ツナギ売り」に使うこともできる。

もし、相場全体が下降トレンドに入ったならば、信用取引を活用し「カラ売り」することを選択肢に入れる。相場下落は利益拡大のチャンスである。相場が長期下落に向かえば買いでは勝てないし、売却して現金化しても買いには入れず、ひたすら大底打を待たねばならない。しかし、「ツナギ売り・カラ売り」を活用すれば持ち株の値下がりリスクを回避しながら勝負できるのである。

また、相場開始段階での戦略は、一般的には連勝である。格好悪くバタバタしても、つまり、銘柄の質や利幅目標が低くても早く利食いして連勝での利益の積み増しを図る。相場が進行し、利益の蓄積が大きくすることによってまた、新たな戦略が必要となる。例えば相場開始時の戦略は、人によってある程度の差があるのは当然であるが、相場末期の戦略は、人によっての差は出ないものである。
相場の最終段階では、大きく勝っている人、ソコソコ勝っている人、ソコソコ負けている人、大きく負けている人の4つの立場に大別できる。大きく勝っている人は大負けを喫しないように注意し、ソコソコ勝っている人は負けに転じないように、ソコソコ負けている人は何とかプラスに持ち込もうとするであろうし、大きく負けている人は一発勝負で大きく勝てる可能性に賭けてくる。

即ち、最終段階では投資の仕上げを目指すのであり、偶然性に頼った勝負はしなくなる。偶然性に頼った勝負をする、ということは、自らの負けを自分で確定してしまうということであり、極めて愚かな行為である。

一般的に、戦略を描く上で、最初から偶然性頼りの大儲けは構想すべきではない。まずは、手堅く利益を積み重ねることを考える。そして、最初に描いた構想がどうしても無理ならば、自分の稼げる範囲内の勝負を考える。

それもまた無理な場合には最終手段として大儲けを考える、という順序になる。戦略は自分の置かれた状況に合わせ描くべきものである。

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