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価値基準の地殻変動

《EVAがもとめられる根拠》

@ 株式市場における『資本効率』の急速な認知
A 『資本コスト』に対する、市場参加者の認識の深化
B 『付加価値』の計測に有効な価値尺度のニ−ズ
C 会計上の歪みを是正、『経済的実態』を的確に把握
D 強まる株主の『理論的』な主張
E 経営者に求められる『企業情報の公開』
グロ−バル・スタンダ−ド『価値基準』
FREE、FAIR,GLOBAL
【1】企業における『競争優位』の崩壊と変質 市場原理に基づく企業競争

『5つの競争要因』
@ 新規参入障壁 規制撤廃、保護行政の廃止

A 業者間競争 談合の排除

B 代替製品・サ−ビスの脅威 異業種の参入

C 売り手の価格支配力・交渉力 系列の非効率、再販価格制度の見直し

D 買い手の価格支配力・交渉力 情報の同時性、同質性

【2】自己責任原則の確立と情報公開の徹底責任
消費者・投資家の保護
企業責任の明確化(製造物責任;PL)

【3】資本の自由化に伴う世界共通の価値基準
「世界的年金資産の運用ニ−ズ」に伴う
国家間の法律(税法)、
制度を超えた共通の価値基準の採択
【BIS規制、国際会計基準(時価会計、連結財務)】

【4】評価者の地位の向上と責任
会計監査の厳密化
運用担当者(ファンド・マネジャ−)の運用責任
企業評価者(アナリスト)の先鋭化
格付け機関の強力化

【5】事業会社が求める有効なリスク判定
既存事業のリスク、新規事業のリスク判定による
優位性確保の経営指針の策定

利益計画と予算の理論的動機づけ
適正利潤の判断

【株主の冨】重視のEVA経営

@ EVA(Economic Value Added経済的付加価値)
商標登録;米国スタ−ン・スチュワ−ト社(経営コンサルタント会社)

「EVA」導入企業海外300社(採用企業米国上位1000社)

A 株主の冨
定義;《株主の冨=株式時価総額−自己資本》
株主の冨=収益価値=企業が株主に対して創造した冨
自己資本=払い込み資本金+内部留保;株主が提供した資金の合計
EVA経営=EVAを継続的に向上させることで株主の冨の持続的拡大を目指す

(スタ−ン・スチュワ−ト社の区別)
株主の冨=MVA(Market Value Added市場付加価値)
株主価値=(Shareholders’Value)※日本(含み利益)

自己資本を上回る株主価値の創造が重要であり、
資本効率重視の経済原則を基盤としており、
たんなる規模(時価総額)の拡大と区別

B コストを包括的に認識するEVA
《定義1》EVE=事業利益−税金−資本費用
事業利益=営業利益+金融収支
資本費用=資本コスト×(有利子負債+株主資本)
資本コスト=(負債コスト+株主コスト)の加重平均値

※ 通常の会計利益では
債権者が要求する元利金の返済のみを費用としてカウントするが、
EVA会計では、
株主が期待する配当及びキャピタルゲインを費用認識。

(ピ-タ-・ドラッガ-)
「EVAは資本コストを含む全要素生産性(total factor productivity)を考慮した尺度である」

従来、経営者が意識してこなかった株主資本コストを固定費化するため
EVAでは費用認識が従来と比べて広域で厳しい。
その結果、経営財務上で問題が生じた場合、
EPS、ROE、ROA等の財務指標や、ROI重視の「格付け」よりも
先んじてEVAが減少に転じることから、早い段階で問題解決に取り組むことが出来る。

CEVAは資本効率重視の考え方
《定義2》EVA=(税引き後事業利益/投下資本-資本コスト)×投下資本

(資本効率と投資効率を明確に認識)

EVAを改善する4つの方法
[1]新たな資本を投下することなく、既存事業の利益を増加させる
[2]資本コストを上回る資本効率が期待出来る新規事業への投資
[3]資本効率が資本コストを下回る事業からの撤退
[4] 資本コストを下げる財務政策を実施する
(※資本コストの低い負債への依存度をデフォルト・リスクが顕著にならない範囲で高める)

DROEの短所(A) 新規事業投資への判断を誤る!

条件:負債がなく利益が営業利益のみの企業
[例1]資本コスト10%で前期末投下資本1000を使用した今期のROEは15%
新規事業は500の初期投資から12%のROEを得られる
【EVA基準】EVA=(税引き後事業利益/投下資本-資本コスト)×投下資本
既存事業;EVA(50)=(150/1000−0.1)×1000
新規事業;EVA(10)=(60/500−0.1)×500

∴判断=全社的なEVAは50から60に改善するため[採用]

【ROE基準】
全社的ROE(14%)=(150+60)/(1000+500)×100(%)
∴判断=全社的なROEは現状の15%から14%に低下するため[非採用]

[例2] 資本コスト10%で前期末の投下資本1000を使用した今期のROEは6%
新規事業は500の初期投資から8%のROEを得られる
【EVA基準】EVA=(税引き後事業利益/投下資本-資本コスト)×投下資本
既存事業;EVA(−40)=(60/1000−0.1)×1000
新規事業;EVA(−10)=(40/500−0.1)×500
∴判断=全社的なEVAは−40から−50に低下するため[非採用]

【ROE基準】
全社的ROE(6.66%)=(60+40)/(1000+500)×100(%)
∴判断=全社的なROEは現状の6%から6.66%に改善するため[採用]
※ ROEの改善を基準に新規投資の意思決定をすると、
EVA創造事業を却下し、EVA破壊事業を採択してしまう危険性がある。

※ ROEを用いるときは、
資本コストとの比較で判断しなければ誤った評価を下す危険がある。
(B)ROEは資本コストを正しく認識出来ない!
ROE=[ROA+(ROA−有利子負債利子率)]×(1−税率)
「ROEを上げるには、ROAが有利子負債利子率を上回る新規投資を実行すれば良い」

ROE=事業活動(ROA)+財務活動(有利子負債利子率+資本構成)????
ROAは企業資本全体の運用効率を表わすものであり、収益性指標としては重要であるが
利子率を考慮しなければ横断的比較は勿論、時系列比較も出きない欠点がある。

※ EVAを改善する方法のうち、長期的にEVAの向上に貢献し続けられるのは
資本コストを上回る資本効率が期待出来る新規事業に投資する事だけである。

他の方法も
効率性追求には欠かせないが、期待出来る効果は限定されている。
効果的な成長投資の意思決定にはROEではなくEVAが機能すると考えられる。

利益率の高いビジネスは往々にして事業規模が小さく、
ROE向上を目標とすると、縮小均衡に陥る問題がある。
EVAは有効なリストラを可能にする。

EEVAには会計数値の修正が必要

EVAを計算するには
会計原則に促して作成された数値を経済的実態に引き戻す修正が必要となる。
S・S社では150近い修正項目が特定されているが、3つの修正方法に大別。

1、 短い償却期間しか認めない(研究開発費、先行投資、市場開拓費、新製品宣伝費等)
会計数値は保守主義に基づき債権者向け(解散価値)になっているが、ゴ−イング・
コンサ-ンを前提とすれば経済実態(収益価値)に近い方が好ましい。

※ 株式市場は、長期投資の成果を暗黙裡に評価し株価を形成しており、
企業経営者も長期的視野にたった経営財務管理指標を考え出す必要がある。

2、 キャシュ・フロ−を捉えられるように、
引当金、繰延税金等を発生主義から現金主 義に修正している。

3、 経常的な事業活動に焦点を当てるため営業外項目や特別損益を修正している。
※ 会計上の数値を無修正で用いるROEは、経営財務管理指標として不備な点が多い。

FEVA経営の実際「4つのM」

[1] Measurement(測定)業績評価
真の利益を測定するため、各部門の期間業績をEVAにより測定する

[2] Management(経営)投資決定
新規事業投資、M&Aの評価、不採算部門の整理等経営意思決定基準とする。

[3] Motivation(動機付け)報酬決定
EVAの増減を報酬に連動させ、株主の利益に応えたうえで利益が配分される

[4]Mindest(思考態度)
社内外に経営の意思を伝える事が出来る
社内向けには、格事業部は資産効率の改善を具体的な目標に出来る。
機関投資家、証券アナリスト等にむけEVAをIR活動に利用出来る。

G 内外主要企業で実際の経営戦略に用いられ、有効性を認知。
H 世界経済の先端に位置する日本企業は、
国際的投資家の期待に応え競争に勝ち抜くためには
新たなビジネスリスクに挑戦し続けねばならない

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